初めて彼に会った時 体育会系の礼儀正しい印象を持った。
会話してもとても丁寧に受け答えするし、 しっかり目を見て話してくれる。
小麦色の肌にがっしりした体型で、 鹿児島にはいそうだけど、 こっちにはなかなかいないやつ。 スポーツやったことないって言っていたな。
その後 彼と対面で話をした。
『俺なにもかも中途半端で、 んで、今まで遊んでて、 さすがに残り1年でやばいと 思って来ました。』 と言う。
中途半端という彼の顔はどこか 「うますぎ」たけれど、 気にもとめないフリをして、 とりあえず話を聴く。
―――とにかく見返したいし、 大学入ってモテたいと。。。
今でも十分イケメンだし、 モテるんだろうけど、 その向上心凄く 素敵だと思う。 だって男だもんね。 見返したいもの… あるんだね―――
帰り際 彼が急いで寄ってきて、 口を開く。
『俺 嘘ついてました。 柔道やってて、 推薦で高校入ったけど、 すぐやめました。 家、母子家庭で双子の兄ともひとり妹がいるんです。 推薦で入った時も 親にかっこつけて、 ドラマであるように、 ぜってー全国大会連れて行くから! って言ったのに、 結局1年もたなかった。 お金ないけど、 俺週2で固定でバイトして、 ここきたんです。 先生に教わりたいです…』
――― 全ては1日で起きた もしかしたらたわいも無い1つの物語。 そして 教育業界にどっぷり浸かっていると こんな機会は沢山あります。
でも 塾や学校は 本当に彼らに向き合えているのだろうか。
いや、 向き合いたくても向き合えないんです。 先生も塾も必死です。
ただ皆 揃って 全くズレた事に躍起になっている。
どんなに社会が便利になって 効率的になっても、 永遠に アナログじゃなきゃだめな部分って あるのかなって思うんです。
僕はこれからの一年を 彼とどんな戦略で サバイブしていくのだろうか。
きっと彼にとってはキツいんだろうけどね。
でも 1つだけ伝えてあげたい事がある。
『君みたいな子が伸びないわけがない。 ただ、これまでの先生達にあるスキルが足りなかった、 それ以上でもそれ以下でもない。 そして 何より僕は、君の成績が伸びていかないイメージが全く湧かない。 どう頑張っても。 これはね、凄い武器なんだよ。 どうかお願いだから今回だけは 逃げないでほしい、 しっかり導いていきます。』
1年後の彼はどんな笑顔をして、 僕に喜びの報告を 伝えてくれるのだろうか。。。
彼は今日から今を生きる。
そしてきっと うまくいく。
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