コーチ型 教師のアプローチ 2

 

【出来なかった理由ではなく、出来た理由を説明させる】

 

 

例えば今、ある子が数学の演習でとある問題を間違がってしまったとします。

皆さんはどのように対応されますか??

 

 

色々な対応があると思いますが、

中でも

『どうして間違ったの?』

と聞き、出来なかった理由を述べさせて、

『それをしてはいけません。』

と言ってしまうことも多いのではないでしょうか。

私自身もついそう聞いていたもので、そうする事で間違いを認識させて 間違いを繰り返さないようにしたかったようです。

 

でも、そうした確認を何度もしたにも関わらず彼らはまたなぜか同じ間違いをおかしてしまう。

さて…

一体全体 これはどうなっているのでしょう?

 

 

 

 否定語と緑色のサンタクロース

 

『緑色のサンタクロースを想像しないで下さい。』

 

ある時 皆さんはこう言われたとします。

この瞬間 皆さんは何をイメージしますか?

 

恐らく、ほとんどの方が 《緑色のサンタクロース》のイメージを  無理くり描いてしまった事でしょう。

これは、

「私達の脳は 否定形を認識出来ない」

という仕組みに理由があると言われており、

私達は そのように無意識のうちに意図しないイメージを作ってしまう傾向があるようなのです。

(詳しい説明は ここでは割愛します。)

 

 

F1レーサーが一番初めに教えられる事とは?

 

もう1つ例を出しましょう。

ここに、ものすごい瞬発力が試されるF1レーサーがいます。

一瞬の気の緩みも許されないそんな彼らには、最初にある重要な事が教えられると言われています。

 

それは、

『もしもコースアウトしそうになったら、進行方向(壁)に目を向けるのではなく、リカバリーしたいポイント(コース内)にすぐに視線を移しなさい。』

 

これは

『もしもコースアウトしそうになったら、壁を見てはいけない』

と言われると、そちらの方(壁)へと脳内イメージが無意識に移されていき益々壁側に引き寄せられていくからだといわれています。

これは恐らくスノーボードをやられた事がある方は似たような 経験がある事かもしれません。

 

 

 

 なぜ間違いを説明させてしまうのがいけないのか?

 

私達は時に  子供達が出来なかった理由を必死に探そうとする事があります。

それは上記のような理由として予防策としてそう行動する事も確かにありますが、

ひとえに教師側の 自分が「なにかしら」安心したいという理由もある気もします。

だから、どういう思考回路で間違ってしまったのかを「こちら側」が認識したくなる。聞いて自分が安心したい、なぜなら間違いに至るプロセスを逐一把握しておくのは精神的にきついから。

でも、彼ら彼女からしたらそれは決して気持ちの良いものではなくて、更に再度嫌な経験(イメージ)を彼らに描き直させしまうかもしれないという事を私達は考慮しておく必要があるでしょう。

 

 

 

では、どうすればいいのか?

 

逆のアプローチを取ります。

つまり、まずは あえて間違いに触れないようにするのです。

 

もちろん 訂正はする(してもらう)のですが、それ以上 再度間違いをイメージさせてしまうような事は控えます。

その代わりに(ここからが重要なのですが)、彼らが 熟考の末 正解を導き出した時(もちろん一度間違えた問題を彼らなりに再度解き直しを行った時に)、

その【出来た理由の説明】をしてもらいます。

 

『うん、これで(は)合ってるね。じゃあこれが出来た理由を説明してもらえるかな??』

 

という風に答えてもらうのです。

これには3つのメリットがあります。

 

 

出来た理由の説明をしてもらう3つのメリットとは?

 

まず1つ目。

子供達の方も正解だからこそ答えやすいという事

よく授業などで当てても上手く答える事が出来ないのは、得てして自分が間違った答えを言うかもしれない、間違いと先生に言われるかもしれないという恐怖を抱えているからだと思うのです。実際、今も私もそうです。なので、事前に正解だよ、というゴールを認識させて、その恐怖を取り除いてあげるわけです。そうする事で、少しは自信を持って説明してくれます。

 

2つ目。

正解に至る事が出来たプロセスを自分で話しながら理解し リアルに感じる事が出来るので、記憶に残りやすいという事

私たちは時に話しながら自分の考えをまとめたり整理したりすることが多いようです。案外、私たちは「わかっているつもり」が非常に多いので、口に出し、自信を持って正解に至る過程を話してもらう事で、その子の中に問いに対する「答えや知識の引き出し」のようなものを自分自身で作ってもらいます。

 

そして3つ目。

自分はできている、出来たという感覚を得やすい事

「出来た」という感覚は、私達人間のモチベーションに欠かせないものだと感じています。それがたとえ取るに足らない小さな事でも。自分がやりたいと思った事と実際に出来た事との一致が 次の挑戦へと向かう力になるはずです。

 

 

 

まとめ

 

勉強は 楽しくなると きっと続くようになります。

楽しいから勉強が出来るようになるのに加えて、出来るから楽しくなるんだと思うのです。勉強嫌いだった私が正にそうでしたから。

 

『出来ない』理由よりも『出来る』理由を色々な形で自分自身に印象付ける事。

そして、

出来た事を五感を通して味わい尽くす事。

 

今尚も、私の知識欲の源泉となるものです。

 

 

 

補足:投げかけてみたい質問例

Q,最近 子供達が何かをなんとか頑張ってできた事はありましたか?

Q,それについて彼ら彼女らはどうして出来たと思っているのでしょうか?

Q,それをさりげなく聞きだして、出来ているんだと思わせてあげるにはどうしたらいいと思いますか?

 

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